着物買取のトラブルに注意|訪問買取・押し買いの事例と安全な業者の選び方

着物買取のトラブルに注意|訪問買取や押し買いの危険性と対策を伝えるイラスト

「近所を回っているので、いらない物があれば何でも買い取りますよ」以前、私の母のところにこんな電話がかかってきました。

母は「それなら」とお願いしたのですが、家に来た業者に何を見せても「それは買い取れません」と言われ、どれもだめだったそうです。よくよく聞いてみると、買い取れるのは貴金属だけでした。

母はその場で断り、相手もそれ以上は粘らずに帰ったので、大きなトラブルにはなりませんでした。

ただ、このパターンは訪問買取のトラブルとしてかなり多い形です。断ったあとも帰ってくれなかったり、売るつもりのなかった指輪まで持っていかれたりする人もいます。

この記事では、着物買取で起きやすいトラブルの形と、業者が守らないといけないルール、もし契約してしまったときの対処法までをまとめました。

先に結論|着物買取のトラブルを防ぐには
  • 「何でも買い取る」という突然の電話には、その場で来てもらう約束をしない
  • 家に来てもらうのは、自分で選んで申し込んだ業者だけにする
  • 着物以外の物を見せてと言われても、出さなくていい
  • 契約するなら書面を受け取り、会社名と連絡先を確かめる
  • 契約しても、書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフできる
  • 困ったら消費者ホットライン188に電話する
目次

着物買取で起きやすいトラブルは5つ

着物買取で特に注意したいのが、「業者に家へ来てもらう買取」、つまり訪問買取で起きるトラブルです。

国民生活センターに寄せられた訪問購入の相談は、2023年度が8,623件、2024年度が7,909件、2025年度が7,523件。少しずつ減ってはいますが、それでも毎年7,000件を超えています。

※件数は国民生活センターの「訪問購入」のページより(2026年7月31日更新)。消費生活センターなどに寄せられ、PIO-NETに登録された相談の件数です。

よくあるトラブルは、大きく分けると次の5つです。

着物買取で起きやすい5つのトラブル

「何でも買い取ります」という電話から始まる

注意したいのが、母のときと同じように、業者のほうから電話がかかってくる形です。「近くを回っている」「不用品を何でも買い取る」「着物や古い服でも大丈夫」と言われると、片づけに困っている人ほど、つい頼みたくなりますよね。

ところが実際に来てみると、着物にはほとんど値段がつかず、話はすぐに貴金属や時計へ移っていきます。最初から目当ては貴金属で、着物や不用品は家に入るための口実になっていることが多いんです。

着物を見に来たはずが貴金属を出すように言われる

「ほかに指輪やネックレスはありませんか」「金なら今は高く売れますよ」と、着物とは関係のない品物を出すように求められるケースです。国民生活センターでも、和服や不用品の買い取りを頼んだのに、貴金属を買い取られたという相談を典型的な例として取り上げています。

一度聞かれるくらいなら、そこまで気にしなくても大丈夫です。問題になるのは、断っているのに何度も出すように迫られる場合です。形見の指輪を「見せるだけ」のつもりで出したら、そのまま買い取られてしまったという事例もあります。

断っても帰らない・何度も勧誘される

「売りません」と伝えても「ここまで来たんだから」と居座ったり、日をあらためて何度も訪ねてきたりする、いわゆる押し買いです。一人暮らしの高齢の方が狙われやすく、早く帰ってほしい一心で、安い金額のまま売ってしまうことも少なくありません。

書面を渡さずに品物を持っていく

契約のときに書面を渡さなかったり、渡されても会社名や連絡先がはっきりしなかったりするケースです。

あとから「やっぱり返してほしい」と思っても、どこに連絡すればいいのかわからなくなってしまいます。代金を「後日振り込む」と言って品物だけ持っていき、そのまま連絡がとれなくなる例もあります。

宅配買取で起きるトラブル

送るだけの宅配買取では、押し買いのような心配はほとんどありません。そのかわり、査定額に納得できず返してもらうときの返送料や、返ってきた着物の扱いについての不満が出ることがあります。

宅配で売るときの注意点は、別の記事でまとめています。

安く買い取られたことと悪質な買取は分けて考える

トラブルを考えるときに知っておきたいのが、「思っていたより安かった」ことと「悪質な買取」は別の話だということです。

着物の買取価格は、今の需要や状態、証紙のあるなしなどで決まります。何十万円もした着物に数百円しかつかないこともあり、がっかりする気持ちはよくわかります。ただ、金額が低いこと自体は、法律に反しているわけではありません。

一方で、法律で禁止されている行為をしてくる業者は、はっきり「悪質」と言えます。違いをまとめると次のようになります。

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分け方具体的な例
法律のルールに反すること・頼んでいないのに家に来て買取の話をする
・頼んだ品物以外を出すようにしつこく言う
・断ったのに帰らない、また来る
・書面を渡さない
・うそを言う、こわい態度で売らせようとする
・クーリング・オフはできないと言う
違法ではないけれど後悔しやすいこと・査定額が思っていたより低い
・値段がつかない着物が多い
・業者によって金額に差がある
・その場で決めてしまい、あとで迷う
着物買取における法律違反と後悔しやすいケースの違い

表の下の段で悩んでいるなら、それはトラブルというより査定額の決まり方を知っておくと気持ちが楽になる話です。着物の査定額がなぜ低くなりやすいのかは、こちらの記事で取り上げています。

訪問買取で業者が守らないといけないルール

業者が家に来て品物を買い取る取引は、特定商取引法で「訪問購入」と呼ばれ、業者が守らないといけないルールが決まっています。

着物も貴金属も、このルールの対象です。消費者庁の特定商取引法ガイドにあるルールのうち、知っておきたいものはこちらです。

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ルールどういうことか
最初に名乗る勧誘の前に、会社名・買取の話であること・買い取る品物の種類を伝えないといけない
頼まれていない勧誘をしない依頼していない人の家に来て買取の話をしてはいけない。査定を頼まれた場合も、頼まれた品物以外をすすめてはいけない
断られたらやめる「売らない」と言われたら、その場で勧誘を続けたり、後日あらためて勧誘したりしてはいけない
書面を渡す契約のときは、品物の種類・価格・会社の連絡先・クーリング・オフについて書いた書面を渡さないといけない
うそや脅しをしない事実と違うことを言ったり、こわがらせて売らせたりしてはいけない
8日間は品物を渡さなくていいクーリング・オフの期間中は、売った品物の引き渡しを断ってもいい。業者はそのことを伝えないといけない
転売したら知らせる期間中に品物をほかの人に渡したときは、渡した相手などを知らせないといけない

※消費者庁「特定商取引法ガイド」の訪問購入のページをもとに、主な内容をわかりやすくまとめたものです。正確な条文は特定商取引法第58条の4〜第58条の17で確認できます。

母のときは、電話で「何でも買い取る」と言っていたのに、来てみたら貴金属しか買い取れないという話でした。最初に伝えるはずの品物の種類と、実際の話が違っていたわけです。

なお、引っ越しのときに自分から業者を呼んだ場合や、いつも出入りしている業者との取引などでは、ルールの一部が当てはまりません。また、自動車(バイクなどは除く)や家具、家電、本やCDといった一部の品物は、そもそも訪問購入のルールの対象外です。

場面ごとの危険サインと対処法

悪質な業者には、話の進め方に共通するクセがあります。電話から契約のあとまで、場面ごとに気をつけたいことをまとめました。

着物買取の電話・訪問・査定・契約後の安心ポイント

電話がかかってきたとき

自分で申し込んでいない業者からの「買い取りますよ」という電話は、そのまま来てもらう約束をしないのがいちばんの対策です。「今は大丈夫です」と断るだけで十分で、理由を説明しなくてもかまいません。

  • 会社名を名乗らない、聞いても答えをにごす
  • 「何でも買い取る」「近くを回っている」と言う
  • 「今日なら」「今週だけ」と急がせる
  • 何を買い取るのか、はっきり言わない

一括査定のサイトなどに自分で申し込んだあと、何社かから連絡が来るのはまた別の話です。申し込んだ覚えのない電話かどうかで、見分けてみてください。

家に来てもらったとき

もし家に来てもらうことになったら、玄関先で名刺を受け取り、会社名と担当者の名前を確かめておきます。査定してほしいのは着物だけだと、最初にはっきり言っておくと、あとで話がそれにくくなります。

「ほかに貴金属はありませんか」と聞かれても、見せるつもりのない物は出さなくて大丈夫です。一度出してしまうと、断りにくい空気になりやすいので、「今日は着物だけで」とくり返せば十分です。できれば一人で対応せず、家族に同席してもらうと安心です。

査定と契約のとき

金額を聞いて迷ったら、その場で決めなくて大丈夫です。「家族と相談します」と言って、いったん帰ってもらいましょう。

相手が帰ってくれない、声を荒らげるといったときは、法律で禁止されている行為にあたるので、ためらわずに警察や消費生活センターに相談してください。

売ると決めたときは、必ず書面を受け取ります。会社名・住所・電話番号・担当者名・品物の名前・金額が書いてあるかを、その場で確かめておくと安心です。

契約したあと

「やっぱり売りたくなかった」と思ったら、書面を受け取った日から数えて8日のあいだは、クーリング・オフが使えます。この期間は品物の引き渡しを断ってもいいので、業者が「今すぐ持っていきます」と言っても、手元に置いたままにしておけます。やり方は次の章で紹介します。

契約してしまったときのクーリング・オフのやり方

訪問購入のクーリング・オフは、理由を問わず、書面を受け取った日を1日目として8日以内なら、契約をなかったことにできる制度です。国民生活センターが紹介している手順は、次のとおりです。

  1. はがきか、メールなどの電子的な方法で、業者に契約を解除すると伝える
  2. はがきの場合は、送る前に両面をコピーしておく
  3. 特定記録郵便か簡易書留など、送った記録が残る方法で送る
  4. メールや専用フォームなら、送った画面を保存しておく
  5. 品物をもう渡していたら、返してほしいと書き添える。受け取った代金は返す
  6. コピーや送った記録は、少なくとも5年間とっておく
着物買取のクーリング・オフ期間と手続きの流れ
※クーリング・オフによる着物の返還費用は、買取業者の負担です。
はがきに書くことの例

通知書
次の契約を解除します。
契約日:〇年〇月〇日
品物:着物〇枚・指輪1点
契約金額:〇〇円
買取業者:株式会社〇〇(担当者〇〇)
引き渡した品物は返してください。受け取った代金はお返しします。
〇年〇月〇日
住所・氏名

業者が「クーリング・オフはできない」とうそを言ったり、脅したりして手続きを邪魔した場合は、8日を過ぎてもクーリング・オフができます。また、業者が品物をほかの人に売ってしまっていても、クーリング・オフの効果はその相手にも及ぶのが原則です。「もう売ったから返せない」と言われても、あきらめなくて大丈夫です。

自分で手続きするのが不安なときや、相手と連絡がとれないときは、消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口につながります。

※クーリング・オフの方法は、国民生活センター「クーリング・オフ」と消費者庁「特定商取引法ガイド」の訪問購入のページをもとにまとめています(2026年10月時点)。

離れて暮らす親を押し買いから守るためにできること

押し買いで狙われやすいのは、昼間に家にいることが多い高齢の方です。電話の相手が親切そうだと、断るのが悪い気がしてしまうんですよね。母も、近所を回っていると聞いて、それならと気軽にお願いしたそうです。

わが家にも、祖母の着物が、今もたんすにたくさん残っています。着物のある家ほど「着物を買い取ります」という言葉に反応しやすいので、家族で次のようなことを話しておくと安心です。

  • 知らない業者からの買取の電話は、その場で約束しない
  • 業者を呼ぶときは、家族に一言伝えてからにする
  • 訪問の日は、できるだけ家族が同席する
  • 着物以外の物は出さないと決めておく
  • 困ったら188に電話する、と電話の近くにメモを貼っておく

実家の着物をそろそろ整理したいと考えているなら、親が一人で業者を探す前に、家族で業者を選んで申し込むのがいちばんの予防になると思います。

安心して頼める着物買取業者の選び方

ここまで読んで、訪問買取がこわくなった方もいるかもしれません。

ただ、きちんとした業者に自分から申し込めば、出張買取はとても便利な方法です。実際に利用した人の口コミを見て思ったのですが、最初は不安を感じていた人がとても多いんです。

口コミ

ときどき訪問買取の電話がかかってくるけれど、ずっと避けていた。着物を整理するときに初めて自分から頼んでみたら、来てくれた人が気さくで、気持ちよく取引できた。
(東京都・ザ・ゴールド 五反田TOCオフィスの口コミを要約)

口コミ

査定には怖いイメージがあったけれど、担当の人が気さくで、着物の質問にも答えてくれた。イメージががらりと変わった。
(愛知県・ザ・ゴールド 名古屋オフィスの口コミを要約)

口コミ

着物買取はよくない話を聞くので不安だったけれど、ていねいに対応してもらえて、頼んでよかった。
(東京都・バイセル グランデュオ蒲田店の口コミを要約)

不安の中心は「家に来た人に強く言われたら断れないかもしれない」ということだと思います。なので業者を選ぶときは、査定額よりも先に、次のようなところを見ておくのがおすすめです。

  • 自分で公式サイトから申し込めるか
  • 出張料・査定料・キャンセル料がかからないか
  • 来る人の名前や顔、会社の情報を事前に確かめられるか
  • 着物以外は見なくていい、と伝えられる雰囲気か
  • クーリング・オフについて、公式サイトや書面できちんと説明しているか

出張買取の会社ごとの違いや、申し込む前に見ておきたいポイントは、こちらで整理しました。

バイセルなど、気になる会社の名前で評判を調べている方は、会社ごとの記事も参考にしてみてください。

着物買取のトラブルについてよくある質問

突然電話してきた業者に頼んでも大丈夫?

おすすめしません。自分で申し込んでいない業者は、会社のことを確かめにくく、着物よりほかの品物が目当てのこともあります。着物を売りたいなら、自分で調べた業者に申し込むほうが安心です。

着物以外の物を見せてと言われたらどうすればいい?

見せなくて大丈夫です。査定を頼まれた品物以外をすすめることは、法律で禁止されています。「今日は着物だけで」とはっきり伝えてください。

クーリング・オフは何日以内にすればいい?

訪問購入の場合は、書面を受け取った日を1日目として8日以内です。業者がうそを言ったり脅したりして邪魔をしたときは、8日を過ぎていても手続きできます。

売った着物はクーリング・オフで返ってくる?

期間中なら、品物の引き渡しを断ったり、返してもらったりできます。受け取った代金は返します。業者が品物をすでにほかの人に売っていても、原則としてクーリング・オフの効果はその相手にも及びます。

安く買い取られたのはトラブルにあたる?

金額が低いことだけでは、法律に反しているわけではありません。ただ、うそを言われた、帰ってくれなかったといった事情があれば話は別です。迷ったら消費者ホットライン188に相談してみてください。

まとめ|着物買取のトラブルは「自分で選んで申し込む」で防げる

着物買取のトラブルで特に注意したいのが、業者のほうから声をかけてくる訪問買取です。母のように、電話をきっかけに家まで来てもらうと、思っていた話と違っても断りにくくなりがちです。

なので、いちばんの予防は、自分で調べた業者に自分から申し込むこと。そのうえで、着物以外は出さない、書面を受け取る、迷ったらその場で決めない。この3つを覚えておけば、もし何かあっても8日間のクーリング・オフと188という頼れる窓口があります。

安心して頼める業者を目的別に比べたいときは、こちらの記事から選んでみてもいいと思います。

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